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高齢者がeスポーツをするメリットは?効果・始め方・おすすめゲームを解説

「eスポーツは若者のものでしょう」「高齢の親にゲームなんて難しいのでは?」

そのような先入観をお持ちの方も多いかもしれません。しかし近年、eスポーツは高齢者の健康づくりや生きがいづくりの手段として、全国の自治体や介護施設で積極的に導入されています。

スポーツ庁も推進に乗り出しており、「シニアeスポーツ」という言葉が定着しつつあります。

この記事では、高齢者がeスポーツに取り組むメリットや注意点、おすすめのゲームジャンル、始め方、全国の事例まで、はじめての方にもわかりやすく解説します。

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目次

1.高齢者とeスポーツとは

ここではまず、eスポーツの定義や従来のゲームとの違い、近年高齢の方からの注目を集めている理由を解説します。

(1)eスポーツの定義と従来ゲームとの違い

eスポーツとは、「エレクトロニック・スポーツ」の略で、コンピューターゲームやビデオゲームを使った競技・スポーツ活動全般を指します。

単なる娯楽としてのゲームと異なる点は、ルールのある競技として他者と対戦したり、チームで協力して目標を達成したりするところにあります。

2024年にはパリオリンピックの文化プログラムとして「オリンピックeスポーツウィーク」が開催されるなど、国際的なスポーツとして認知が広がっています。

一人でスマートフォンをぼんやり触るゲームとは異なり、頭を使い、手を動かし、他者と関わるという点がeスポーツの大きな特徴です。

(2)なぜ今、シニア世代に注目されているのか

高齢者とeスポーツの親和性が注目される背景には、主に以下の3つの要因があります。

注目されている要因
  • 身体的なハードルが低い
  • 認知症予防や健康維持への効果が研究で示されてきた
  • スポーツ庁をはじめとする公的機関が推進している

eスポーツは激しい運動を必要としないため、車いすを使用している方や体力に自信のない方でも取り組みやすいスポーツです。

また、複数の研究結果をまとめて分析した国際的な学術論文では、軽度認知機能障害を持つ高齢者へのビデオゲーム介入により認知機能の有意な改善が確認されています。

奈良県川西町でも、3カ月間のeスポーツ参加で軽度認知機能に疑いのあった6名中5名が改善したことが報告されています。

さらにスポーツ庁が推進に乗り出したことで、全国の自治体が体験会や講座を開催するなど、公的なサポート体制も整いつつあります。

参考:Liu B, et al. “The effects of video games on cognitive function in older adults with mild cognitive impairment: a meta-analysis.” Frontiers in Aging Neuroscience, 2026.
参考:奈良県川西町「eスポーツを活用したフレイル予防の効果検証事業を開始します」
参考:スポーツ庁「令和6年度 Sport in Life推進プロジェクト」

2.高齢者がeスポーツをするメリット

ここでは、高齢者がeスポーツをするメリットについて以下のとおり解説します。

高齢者がeスポーツをするメリット

(1)認知症予防・記憶力アップが期待できる

eスポーツが高齢者に注目される理由として、最も多く挙げられるのが認知症予防への期待です。ゲームをプレイする際には、画面の情報を素早く読み取り、次の動きを予測し、手を動かすという一連の動作を同時にこなす必要があります。

こうした複合的な脳への刺激が、認知機能の維持・向上につながると考えられています。「慣れないことへの挑戦」が脳を刺激するという点でも、新しいゲームに取り組むこと自体が認知症予防のトレーニングになるといえるでしょう。

(2)フレイル予防・身体機能の維持が期待できる

フレイルとは、加齢によって心身の活力が低下し、要介護状態になりやすくなった状態のことです。eスポーツはフレイル予防の手段としても注目されています

ゲームのプレイ中は、手や指を細かく動かし、目と手の協調運動を繰り返します。こうした動作が反射神経や集中力の維持に役立つとされており、身体機能の低下を緩やかにする効果が期待されています。

前述の川西町の実証実験でも、椅子立ち上がりテストやTUGテスト(歩行能力の指標)において有意な改善が確認されています。eスポーツが身体機能にもよい影響をもたらす可能性は、十分にあると考えられるでしょう。

(3)気持ちが前向きになる・幸福度が上がる

eスポーツには、精神的な健康へのよい影響も報告されています。ゲームをクリアしたときの達成感や、上達していく喜びは、日常生活の中で感じにくくなりがちな「自信」や「やりがい」を取り戻すきっかけになります

また、定期的にeスポーツに参加することで生活にリズムが生まれ、「次の体験会が楽しみ」という気持ちが前向きな生活習慣の形成につながるケースも報告されています。川西町の実証実験でも、身体・認知機能だけでなく精神心理機能や幸福度への好影響が確認されており、心の健康という観点からもeスポーツの可能性が広がっています。

(4)仲間とつながる・多世代交流ができる

eスポーツの大きな魅力のひとつが、年齢や身体能力に関わらず同じ土俵で楽しめる点です。体力差が出やすいリアルスポーツと異なり、eスポーツでは高齢者が若い世代と対等に競い合える場面も生まれます

施設や自治体が開催する体験会や大会では、参加者同士が自然と会話をするきっかけが生まれ、孤立しがちな高齢者の社会参加を促す効果も期待されています「孫と一緒に楽しめる趣味ができた」「体験会で友人ができた」といった声も多く、eスポーツが世代を超えたコミュニティづくりの場として機能しています。

3.高齢者がeスポーツをするデメリット・注意点

ここでは、高齢者がeスポーツをするデメリット・注意点について解説します。

(1)目・腰など身体への負担がある

eスポーツはリアルスポーツと比べて身体への負荷が少ない一方で、長時間のプレイは目や腰への負担につながる点に注意が必要です。画面を長時間見続けることによる眼精疲労や、同じ姿勢を続けることによる腰痛は、高齢者にとって特に起こりやすいトラブルです。

対策としては、30分に1回程度を目安に休憩を取り、軽くストレッチをするような習慣をつけることが効果的です。また、画面の明るさや文字の大きさを調整し、目に優しい環境を整えることも大切です。「楽しいからついつい続けてしまう」という声も多いため、タイマーを使うなど、時間を意識して取り組む工夫をおすすめします

(2)操作習得のハードルがある

コントローラーやキーボードの操作に慣れるまでに時間がかかることも、高齢者がeスポーツを始める際のハードルのひとつです。「覚えることが多くて難しい」「うまくできなくて恥ずかしい」と感じて途中であきらめてしまうケースも少なくありません。

こうしたハードルを下げるためには、操作がシンプルなゲームから始めることが重要です。また、家族や施設スタッフ、地域の体験会スタッフなどのサポートを借りながら少しずつ慣れていくことで、挫折を防ぎやすくなります。最初からうまくできなくて当然という気持ちで、焦らずゆっくり取り組むことが長続きのコツです。

(3)「身体に悪い」と誤解されやすい

「ゲームは身体に悪い」というイメージを持つ方は、高齢者本人だけでなく、その家族にも多くいます。しかし、適切な時間・環境でeスポーツに取り組む場合、身体への悪影響よりも認知機能の維持や社会参加といったメリットの方が大きいとも考えられています。

大切なのは「やりすぎない」ことです。1回あたりのプレイ時間の目安を決め、休憩をこまめに取りながら楽しむことで、身体への負担を最小限に抑えることができます。家族や周囲の方も「ゲームだから」と頭ごなしに否定するのではなく、まずは一緒に体験してみることをおすすめします。

4.高齢者におすすめのeスポーツジャンル・ゲーム

高齢者がeスポーツを始める際に大切なのは、自分の興味や体力に合ったジャンルを選ぶことです。以下に、シニア世代が取り組みやすいジャンルと代表的なタイトルを紹介します。

また、eスポーツの基本的な種目については、以下のページもご参照ください。

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(1)脳トレ・パズル系

記憶力や思考力を使うパズルゲームやクイズゲームは、認知症予防を意識している方に特におすすめのジャンルです。難易度を自分で調整できるものも多く、はじめてゲームに触れる方でも取り組みやすいのが特徴です。

代表的なタイトルとしては、落ちものパズルの「ぷよぷよeスポーツ」(Nintendo Switch)などが挙げられます。対戦形式で楽しめるため、施設や体験会でのレクリエーションとしても活用しやすいでしょう。 

(2)スポーツ系

テニスやボウリング、ゴルフなどのスポーツをゲームで体験できるジャンルです。実際に身体を動かしながら楽しめるタイトルも多く、運動不足の解消にもつながります

たとえば「Nintendo Switch Sports」であれば、直感的な操作で楽しめます。ゲーム初心者の高齢者にも受け入れられやすく、家族や施設スタッフと一緒に盛り上がれる点も魅力です。 

(3)対戦・コミュニケーション系

他のプレイヤーと対戦したり、協力して目標を達成したりするジャンルです。勝ち負けを競う楽しさだけでなく、対戦相手との会話や交流が生まれやすく、社会参加の場としても機能します。

「太鼓の達人」シリーズは音楽に合わせてリズムよく太鼓を叩く操作がシンプルで、幅広い年代が一緒に楽しめます。そのため、全国の自治体や介護施設でのeスポーツイベントでも広く採用されています。 

参考:Yahoo!ニュース「公民館で「太鼓の達人」を楽しむシニアのeスポーツ同好会。90歳・86歳・70歳のチームで<ねんりんぴっく>に出場!」

(4)ほのぼの・スローライフ系

時間制限や敵との対戦がなく、自分のペースでのんびり楽しめるジャンルです。農場を育てたり、島の住人と交流したりするゲームが代表的で、「あつまれ どうぶつの森」(Nintendo Switch)は代表例として知られています。

失敗してもペナルティがなく、プレッシャーを感じずに取り組めるため、ゲームに不慣れな方の入口としても適しています。また孫世代に人気のタイトルも多く、多世代交流のきっかけになりやすい点も特徴です。 

なお、このジャンルは競技性を伴わないため、厳密にはeスポーツには含まれませんが、eスポーツへの入口として親しみやすいデジタルゲームとして広く紹介されています。 

5.eスポーツの始め方|必要な機材と費用の目安

「eスポーツに興味はあるけれど、何を用意すればいいかわからない」という方のために、ここでは始めるために必要なものと費用の目安を整理します。 

(1)必要なデバイス・環境

eスポーツを始めるにあたって最低限必要なものは、以下の4つです。

必要なもの
  • ゲーム機本体(またはパソコン)
  • ゲームソフト
  • テレビやモニター
  • インターネット環境

高齢者の方に特におすすめなのは、Nintendo Switch(ニンテンドースイッチ)です。操作がシンプルで直感的に使えるタイトルが多く、テレビに接続して大画面でプレイできるため、目への負担も軽減できます。パソコンを使ったeスポーツと比べて設定が簡単で、家族のサポートがあれば比較的スムーズに始められます。

インターネット環境については、オンライン対戦をしない場合は必須ではありませんが、ソフトウェアのアップデートなどを行う場合にあると便利です。

(2)初期費用の目安とランニングコスト

Nintendo Switchを例にとると、初期費用の目安は以下のとおりです。

項目費用目安
Nintendo Switch本体5万円前後程度
ゲームソフト(1本)約3,000〜7,000円
合計約53,000〜57,000円程度

テレビがすでに自宅にある場合は追加費用不要です。ゲームソフトは買い切り型のものが多く、購入後のランニングコストはほとんどかかりません。

リアルスポーツと比べて用具の消耗がなく、長期的には費用を抑えやすい点もeスポーツの魅力のひとつです。

(3)家族や施設のサポートの活用

初めてeスポーツに触れる際は一人で始めようとせず、家族や施設スタッフのサポートを借りることをおすすめします。初期設定や操作方法の説明を手伝ってもらうことで、最初のハードルを大きく下げることができます。

また、全国の自治体や介護施設の中には、eスポーツの体験会を開催しているところもあります。購入前にまず体験会に参加して、自分に合ったゲームを見つけてから機材を揃えるという順序が、失敗の少ない始め方としておすすめです。

6.楽しくeスポーツを続けるための工夫

eスポーツを始めても、長く続けるためにはいくつかの工夫が必要です。無理なく楽しめる環境を整えることが、継続の鍵になります。 

(1)休憩を取りながら無理なく楽しむ

eスポーツを長続きさせるうえで最も大切なのは、無理をしないことです。夢中になるとついつい時間を忘れてしまいがちですが、30分に1回程度を目安に休憩を取り、目や身体の疲れをこまめにリセットする習慣をつけましょう。

「今日は30分だけ」とあらかじめ時間を決めてプレイすることで、身体への負担を抑えながら無理なく続けられるでしょう。 

(2)仲間やコミュニティとつながってモチベーションを保つ

一人で黙々とプレイするよりも、一緒に楽しめる仲間がいることが長続きの大きな原動力になります。施設や自治体が主催するeスポーツ教室や体験会に定期的に参加すれば、同じ趣味を持つ仲間と出会いやすくなります。

「次の教室までにこのステージをクリアしよう」といった小さな目標を持つことも、モチベーション維持に効果的です。 

(3)自分に合ったジャンル・ペースを見つける

「難しすぎてつまらない」「簡単すぎて飽きてしまう」という状態が続くと、続けることが難しくなります。最初は操作がシンプルなゲームから始め、慣れてきたら少しずつ難易度を上げていくことで、適度な達成感を感じながら取り組むことが可能です。

ジャンルについても、最初から一つに絞る必要はありません。体験会などを活用してさまざまなゲームを試しながら、自分が「楽しい」と感じるものを見つけることが、長く続けるための一番のコツでしょう。 

7.自治体・介護施設の取り組み事例

ここでは、自治体・介護施設におけるeスポーツ活用の取り組み事例を紹介します。

(1)全国の自治体による導入事例

近年、高齢者の健康増進や生きがいづくりを目的としたeスポーツの取り組みが、全国の自治体に広がっています。

①石川県羽咋市

石川県羽咋市
引用:https://hakui-esports-city.jp/

石川県羽咋市では、2022年からeスポーツを活用したまちづくり「HAKUI Esports City Project」に取り組んでいます。

2024年には市の交流拠点施設「LAKUNAはくい」内に常設のeスポーツスタジオを開設。高齢者向けの「フレイル予防イベント」をはじめ、世代を超えた交流事業やプロ大会まで幅広い事業を展開しています。

実際に開催された体験会では、高齢者による太鼓の達人やパズルゲームの体験のほか、小学生から高齢者までが世代を超えて交流するプログラムも実施。2日間で120人以上が参加しました。会場には金沢大学によるブースも設けられ、VRゲームを用いた反射神経・運動機能の測定や、フレイル予防効果に関する認知機能テストも行われています。

②横浜市青葉区

高齢者の社会参加促進に向けてeスポーツを活用できるかを検証するため、2023年度に区役所で体験会をモデル実施しました。

約60分間でeスポーツの説明と2種類のゲーム体験を実施。参加者のほとんどがeスポーツ初体験であったにもかかわらず「楽しい」「継続したい」という声が多く寄せられました。

「虚弱な人や障害を持った人、子どもとも一緒にできる」という意見も挙がるなど、幅広い層が参加できる活動としての可能性も評価されています。2024年度以降は評価検討委員会を継続して設置し、地域への本格展開に向けた検討が進められています。

③群馬県

群馬県
引用:https://www.pref.gunma.jp/page/1133.html

群馬県では、県と公益財団法人群馬県長寿社会づくり財団が共同で「健康長寿社会に向けたeスポーツ活用実証事業」を実施しました。

上武大学の中山友紀教授が監修し、主に60代の財団職員を対象に「太鼓の達人」「ぷよぷよeスポーツ」を体験。そのうえで心身への影響を調査するという学術的な検証を伴う取り組みです。県・大学・eスポーツ団体が連携した産学官の体制で実証を進めている点が特徴的です。

④茨城県

茨城県
引用:茨城県「eスポーツによる高齢者の生きがいづくりについて」

茨城県は「健康長寿日本一」を目指す取り組みの一環として、シニア世代を対象としたeスポーツ体験会や多世代交流会を開催しています。

会場設営や進行を地元高校生が担うという点も特徴で、参加した高齢者と高校生が同じ画面を見ながら声を掛け合う場面も多く見られ、世代を超えた交流の場として大きな盛り上がりを見せました

普段は接点の少ない世代同士が、ゲームという共通の話題を通じて自然に打ち解けられる点が、単なる体験会以上の価値を生み出しています。

⑤群馬県太田市

群馬県太田市
引用:太田市「太田市シニアeスポーツ推進事業」

群馬県太田市では、2023年度から「シニアeスポーツ推進事業」を正式にスタートしました。60歳以上の団体を対象に、ゲーム機と講師をセットで派遣する「出前講座」を年間36回実施しているのが特徴です。

公民館や老人クラブの集会所など、高齢者が普段から集まる身近な場所に市が出向く形をとることで、参加のハードルを大きく下げています。講座では「太鼓の達人」などの操作がシンプルなゲームを中心に、初めての方でも安心して楽しめるようサポート体制を整えています。

参加者からは「帰ったら孫とやってみたい」「地域の仲間とやってみたい」といった前向きな声が寄せられており、参加後に自宅や地域での継続利用につながっているケースも見られます。

⑥神奈川県

神奈川県
引用:SUNSHINE eスポーツフェスタ in Kanagawaの特設ウェブサイト

神奈川県では2024年9月、シニア向けeスポーツの全国大会「SUNSHINE eスポーツフェスタ in Kanagawa」を県が主催するかたちで開催しました。

神奈川県、日本認知症予防学会、Fusion合同会社の3者共催で、3地区での予選を経て決勝大会を行う本格的な全国大会です。選手は原則60歳以上で、競技種目には「太鼓の達人」と「ぷよぷよeスポーツ」が採用されました。

また、同取り組みは単なる競技大会にとどまりません。会場には参加選手以外もeスポーツを体験できるコーナーや、認知症未病改善のPRブースも設けられました。さらに、ご当地キャラクターの対戦企画や著名人のトークセッション、知事登壇のパネルディスカッションなど、エンタメ性の高いプログラムも組まれています。

来場した子どもや孫世代も一緒に楽しめる構成になっており、シニア向けイベントでありながら多世代が交流できる場として機能した点が大きな特徴です。

⑦東大阪市

東大阪市
引用:東大阪市「介護予防事業(高齢者eスポーツ)」

大阪府東大阪市では、角田総合老人センターの一室に「高齢者eスポーツ広場」を常設し、いつでもeスポーツに触れられる環境を整えています。

大型モニターを使い、曜日ごとに決められたゲームをみんなで楽しむスタイルのほか、個別での一人プレイにも対応しており、利用者の希望に応じた使い方ができる点が特徴です。講師による教室も開催されており、ゲームに不慣れな方でも安心して参加できます。

大阪産業大学との連携によるフレイル改善効果の検証研究も進められており、学術的な裏付けを伴いながら取り組みが継続されている点も注目されます。 

⑧東京都西東京市

フレイル予防を目的としたeスポーツ出張講座を2022年度から継続実施しています。市民ボランティアである「健康デジタル指導士」が、高齢者施設やクラブ、サロンに訪問。「太鼓を叩くゲーム」や「運転をするゲーム」を手や足を使った簡単な運動と組み合わせて実施するスタイルが特徴です。

東京大学高齢社会総合研究機構との連携による効果検証では、eスポーツ活動が社会的交流を促し、生きる意欲の向上につながる可能性が示されています。出張講座から参加した高齢者の中には、後にねんりんピックのeスポーツ交流大会で「最高齢者賞」を受賞した例もあり、継続的な取り組みが個人の活躍にもつながっています。 

参考:西東京市「健康eスポーツ事業のフレイル予防効果検証調査報告書(令和6年度)」

⑨鳥取県 

また、2024年10月に鳥取県で開催された全国健康福祉祭(ねんりんピック)では、「太鼓の達人 ドンダフルフェスティバル」がeスポーツとして初めて正式種目に採用されました。

全国から集まった高齢者が世代の垣根を越えて競技を楽しむ姿が見られ、シニアeスポーツが地域の一過性のイベントから全国規模の公式競技へと発展しつつあることを象徴する出来事となっています。

参考:鳥取県「ねんりんピックはばたけ鳥取2024」

(2)介護施設でのeスポーツ導入のメリットと課題

介護施設でのeスポーツ導入も各地で広がっています。 

①静岡県沼津市の高齢者施設

静岡県沼津市の高齢者施設
引用:HELPMAN JAPAN「高齢者施設にeスポーツを導入することで見えてきた課題とメリット」

介護施設でのeスポーツ導入も各地で広がっています。静岡県沼津市の高齢者施設では、レクリエーションのマンネリ化と参加率の低迷という課題を解消する手段としてeスポーツを導入しました。

「太鼓の達人」を中心にプログラムを組み立てたところ、これまでレクリエーションに参加しなかった利用者も積極的に参加するようになったといいます。また地域のeスポーツイベントにブースを出展し、脳機能測定や認知症予防体操と組み合わせた「健康ゲーム体験会」を開催するなど、施設の枠を越えた取り組みへと発展しています。

②茨城県筑西市のデイサービス施設

茨城県筑西市のデイサービス施設
引用:東京新聞「eスポーツでお年寄りの心身向上 茨城・筑西のデイサービスで実証実験」

茨城県筑西市のデイサービス施設でも、筑波大学と民間企業が連携してeスポーツを活用した実証実験を実施しました。カーレースや太鼓ゲームを楽しんだ利用者からは「最初は気が進まなかったけど、やってみたら面白かった」といった声が寄せられました。

運動不足や孤独感の解消につながる効果が期待されています。 

8.eスポーツ体験会・イベントへの参加という選択肢

eスポーツを始める方法は、自宅で一人で取り組むだけではありません。体験会や地域イベントへの参加、施設・企業でのイベント開催など、さまざまな形で楽しめます。 

(1)一人で始める前に体験会に参加してみる

eスポーツに興味はあるけれど、「自分にできるかどうか不安」「何から始めればいいかわからない」という方には、まず体験会への参加がおすすめです。体験会では機材の準備やゲームの説明をスタッフが行ってくれるため、初めての方でも気軽に試せます。

実際に触れてみることで「思ったより簡単だった」「これなら続けられそう」という感覚をつかみやすく、その後の機材購入や自宅での取り組みへの判断材料にもなるでしょう。

お住まいの自治体や地域の社会福祉協議会、介護施設などが体験会を開催している場合があります。まずはお近くの地域包括支援センターや市区町村の高齢福祉担当窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

(2)企業・施設・地域でのeスポーツイベント活用事例

eスポーツは個人で楽しむだけでなく、自治体や施設・企業のイベントとして取り入れることで、より大きな効果を発揮します。体験会や大会形式でのイベントは、参加者同士の交流が生まれやすく、高齢者の社会参加を促す場として機能可能です。

すでに紹介したとおり、全国の自治体や介護施設にて、介護予防や健康増進、多世代交流を目的としたeスポーツ事業が広がっています。住民や入居者の健康施策、地域活性化策の一環として実績を積み重ねています。また、大学や研究機関と連携した効果検証を行うことで、施策としての客観的な根拠を示しやすい点も大きな利点です。 

また、世代を問わず参加できるという特性から、多世代交流イベントのコンテンツとしても活用が広がっています

一方で、実際にイベントを企画・運営する段階になると、以下のような課題に直面する自治体・施設のご担当者様も少なくありません。

こんなお悩みありませんか
  • 何から準備すればよいかわからない
  • 機材や会場の手配に不安がある
  • 当日の運営を担う人員が確保できない

こうした課題は、イベントの企画・運営を専門会社に相談することで解決できる場合があります。 

9.高齢者とeスポーツに関してよくある質問

ここでは、高齢者のeスポーツ活用に関してよくいただく以下の質問について、それぞれ回答を紹介します。

(1)最高齢のプロゲーマーは何歳ですか?

現時点で世界最高齢のプロゲーマーとして知られているのは、2023年にギネス世界記録に認定された90歳のHammer & Chisel氏(アメリカ)です。

一方、日本国内では2021年に秋田県で結成された、60歳以上限定のシニアeスポーツプロチーム「マタギスナイパーズ」が知られています。平均年齢67歳のメンバーが、本格的な競技タイトルでプロ活動を継続中です。

「年齢を重ねてもeスポーツに取り組める」ということを体現する存在として、シニア世代から大きな注目を集めています。 

(2)eスポーツを始めるのに費用はどのくらいかかりますか?

Nintendo Switchを例にとると、本体が5万円程度、ゲームソフトが1本あたり約3,000〜7,000円が目安です。すでにテレビがある場合は追加費用不要で、合計50,000円前後から始められます。

ゲームソフトは買い切り型のものが多くランニングコストがほとんどかからないため、長期的には費用を抑えやすいスポーツです。まずは自治体や施設の体験会で試してから機材を揃えるという順序もおすすめです。 

(3)高齢者のeスポーツ導入に使える補助金・助成金はありますか?

自治体によっては、高齢者の健康増進や介護予防を目的とした事業に対して補助金・助成金を設けているところがあります。

たとえば奈良県では、川西町のeスポーツを活用したフレイル予防事業が「大和平野中央田園都市構想推進のための事業」として採択され、費用の一部が補助されました。

お住まいや施設のある自治体の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターに相談することで、活用できる制度が見つかる場合があります。 

(4)介護施設や自治体でeスポーツを導入するには何から始めればよいですか?

まずは少人数での体験会を開催し、参加者の反応を確認することをおすすめします。操作がシンプルな「太鼓の達人」や「ぷよぷよeスポーツ」などのタイトルから始めると、初心者でも取り組みやすく場が盛り上がりやすいです。

機材の手配や当日の運営に不安がある場合は、イベントの企画・運営を専門会社に依頼するという選択肢もあります。ストラーツでは高齢者向けeスポーツイベントの企画・運営もご支援していますので、お気軽にご相談ください。 

10.まとめ

今回は、高齢者とeスポーツをテーマに、健康への効果から始め方・おすすめゲーム・全国の事例まで幅広く解説しました。

eスポーツは激しい運動を必要とせず、身体的なハードルが低い点が高齢者に適したスポーツです。認知症予防やフレイル対策といった健康面への効果が研究によって示されているほか、仲間とのつながりや生きがいづくりにもつながります。

「ゲームは若者のもの」というイメージはすでに過去のものになりつつあり、シニア世代の新たな選択肢として定着しつつあるといえるでしょう。

個人で始める場合は、操作がシンプルなゲームから試し、体験会を活用しながら自分に合ったペースで取り組むことが長続きのコツです。施設や自治体でのイベントとして導入する場合は、少人数の体験会からスタートし、参加者の反応を確認しながら継続的なプログラムへと発展させていくとよいでしょう。

高齢者向けeスポーツイベントの企画・運営をお考えの施設・自治体・企業のご担当者様には、イベント制作会社の株式会社ストラーツがおすすめです。全国の自治体で広がるeスポーツ事業の事例を踏まえながら、企画立案から会場手配、当日の運営までワンストップで対応。

大手広告会社やイベント会社出身のプロフェッショナルが、健康増進や多世代交流といった目的に応じた高品質なeスポーツイベントを実現します。「何から準備すればいいかわからない」「機材や運営の人員が確保できない」といったお悩みも、まずはお気軽にご相談ください。 

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