この記事の監修者:堀江 和敬 株式会社ストラーツ 代表取締役社長
これまでに多数のイベント・展示会を制作。日本最大級のIT系のオンライン展示会を主催を経験。
展示会では費用対効果を重視し、名刺獲得からの受注を最大化することを大切にしている。
「展示会に出展することは決まったが、テーマをどう決めればいいかわからない」
「テーマとコンセプト、キャッチコピーの違いが曖昧なまま準備を進めてしまっている」
そんな悩みを抱えていませんか。本記事では、テーマとコンセプト、キャッチコピーの違いを整理した上で、来場者の記憶に残るブースを作るためのテーマの決め方と、設計時に押さえておきたいポイントを解説します。
展示会で自社の製品やサービスを効果的に伝えたいなら株式会社ストラーツがおすすめです。商材の特徴を整理し、来場者に伝わる見せ方やメッセージ設計からブースデザイン・施工、制作物準備、当日運営まで対応。展示会で伝わる展示設計を通じて、出展効果を高めるブースづくりを支援します。
展示会ブースのテーマとは?

展示会ブースにおけるテーマとは、その出展でブース全体が体現する中心的な主題、いわば「このブースは、来場者にとってどんな意味を持つ場なのか」を一言で示したものです。
「今回のブースは、何を伝える場にするのか?」という問いに対する答えがテーマにあたります。単に扱う商材や技術の名称ではなく、その商材を通じて来場者に感じてもらいたい価値や変化を軸に据えた、ブースそのものの「お題」です。
たとえば、経費精算システムを扱う企業であれば、テーマは「経費精算システム」という商材名そのものではなく、「経費精算で困っている人を助けるブース」「経理業務の常識を変える場」のように、その商材を通じてブースが何を提供する空間なのかを表現したものになります。
このテーマが明確に定まっていることで、後述するコンセプトやキャッチコピー、デザイン、接客トークなど、ブースを構成するあらゆる要素の方向性が定まります。
逆にテーマが曖昧なままだと、何を軸に準備を進めればよいか判断できず、ブース全体の一貫性が失われてしまいます。
テーマ・コンセプト・キャッチコピーの違い

展示会の出展準備を進めていると、「テーマ」「コンセプト」「キャッチコピー」という言葉が、社内で微妙に違う意味で使われていることに気づきます。
ある人はテーマを単なる商材名の意味で使い、別の人はテーマをキャッチコピーのような一文で捉えている。こうした認識のズレを抱えたまま準備を進めると、デザイン担当と営業担当で訴求の方向性がバラバラになり、結果として「何のためのブースか伝わらない空間」が出来上がってしまいます。
テーマの決め方を知る前に、まずは3つの違いを押さえておきましょう。
| テーマ | コンセプト | キャッチコピー | |
| 意味 | ブース全体が伝える中心的な主題 | テーマを伝えるための基本方針・切り口 | 提供価値を一瞬で伝える短いメッセージ |
| 問い | このブースは、来場者に何を届ける場なのか | そのテーマを、来場者にどう伝えるか、体験させるか | 来場者に何と一言で言い切るか |
| 役割 | ブースの存在意義を一言で示す「お題」 | デザイン・キャッチコピー・接客演出すべての「判断基準」 | 数秒で「自分に関係がある」と思わせる看板・パネル上の言葉 |
| 例 | 経費精算で困っている人を助ける | 領収書の手入力・突合チェックをなくし、経理担当者の月末残業をゼロにする | 「経理の残業を、ゼロにする」 |
展示会テーマの決め方

テーマは「ブースとして何を伝える場にするか」を言語化する作業です。決め方は大きく2つあり、すでにある商材を掘り下げる「商材起点」と、理想のブース像から逆算する「イメージ起点」に分かれます。自社の状況に近い方から考えてみましょう。
(1)商材から具体化していく(商材起点)
すでに扱う商材や機能が決まっている場合、その商材が持つ機能や強みを掘り下げながら、来場者にとっての価値に翻訳していく決め方です。
商材の仕様や機能(What)から出発し、「その機能によって、来場者にどんな変化が起きるのか(So What)」を繰り返し問いかけることで、テーマの解像度を上げていきます。
▼考え方の流れの例
① 商材・機能:AI-OCRによる領収書の自動読み取り
↓ その機能で何が変わる?
② 入力作業がなくなる
↓ それによって何が変わる?
③ 月末の突合・チェック業務の負担が減る
↓ 最終的にどうなる?
④ テーマ:経理担当者の残業をなくすブース
このパターンでは、機能や仕様の説明にとどまらず、「その先に何が起きるか」を来場者目線で言い切れるまで、具体から抽象へと言葉を積み上げていくことがポイントです。
(2)ブースのイメージから抽象化していく(イメージ起点)
一方で、「こんな体験をしてほしい」「こんな空間にしたい」という具体的なブースのイメージがすでにある場合は、そのイメージから逆算してテーマを言語化する決め方もあります。
たとえば、「来場者が実際に機械の異常音を聞き分け、アラートが鳴る様子を体験できるブースにしたい」という具体的な企画が先にあるケースです。この場合、その体験が来場者にとってどんな意味を持つのかを一段ずつ抽象化していくことで、テーマが導き出されます。
▼考え方の流れの例
① 具体的なブースイメージ:異常音を聞き分け、アラートが鳴る様子を体験できるブース
↓ その体験は、来場者にとって何を意味する?
② 異常の兆候を、機械が壊れる前に察知できる
↓ もう一段抽象化すると?
③ テーマ:設備の突発停止を防ぐブース
このパターンでは、目の前の企画やアイデアに満足せず、「なぜその体験が来場者にとって価値があるのか」を一段上の言葉に言い換える作業が欠かせません。イメージが先行しすぎると、体験自体はユニークでも「結局何を伝えたいブースなのか」が伝わらなくなるため注意が必要です。
いずれのパターンも、最終的には「商材・体験の情報」と「来場者にとっての価値」を行き来しながら、テーマの解像度を上げていく点は共通しています。テーマの軸が決まったら、次はそのテーマを「どう伝えるか」というコンセプト設計に進みます。
なお、テーマ決めにお悩みの方は、「企画」の段階からブース制作会社に依頼するのがおすすめです。次の記事では、おすすめのブース制作会社をランキング形式で紹介しています。

展示会テーマが決まったら:コンセプト設計に移る

テーマが決まったら、それを「来場者にどう伝えるか」というコンセプトに落とし込みます。ここでは、出展ゴールの設定からターゲットの課題整理まで、4つのステップに沿って具体的に言語化していきます。
ステップ①:出展のゴールを数値で定義する
まずは、「この展示会が終わったとき、どんな状態になっていれば成功と言えるか」を数値で定義しましょう。
▼ゴール設定の例
・名刺交換、アンケート回収で300枚を獲得する
・そのうち100件を商談化する
・商談のうち20件を成約につなげる
ゴールを数値で先に決めておくことで、「そのゴールを達成するには、来場者にどう感じてもらう必要があるか」という逆算でコンセプトの方向性が見えてきます。
ステップ②:ターゲットの解像度を上げる
次に、「テーマに対して、誰がもっとも強く反応するか」を具体化しましょう。
展示会には多様な業界・職種の人が訪れるため、業種だけでなく役職・立場まで踏み込んで人物像を描くことが重要です。同じ会社の中でも、立場によって関心事の温度感がまったく異なります。
▼立場別の温度差の例(経費精算システムの場合)
・経営層・決裁者:コスト削減効果が見えず、投資判断がしにくい
・経理部門の責任者:月末の突合作業やミスのチェックに時間を取られている
・現場の経理担当者:紙の領収書とExcelでの手入力作業が続き、残業が常態化している
・情報システム部門:既存の会計システムとの連携可否が気になる
「とにかく多くの人に来てほしい」という発想でターゲットを広げすぎると、次のステップで課題を一文に絞り込めなくなります。
ステップ③:ターゲットの課題を簡潔に表現する
ターゲットが定まったら、その人が抱えている課題を簡潔に表現しましょう。ここで曖昧な表現のまま進めると、コンセプトもぼやけたものになってしまうため、できるだけ具体的な言葉に落とし込むことが重要です。
▼課題の例
・「紙の領収書をExcelに手入力し、上長の承認をもらうまでに何日もかかっている」
・「月末になると経理担当者に申請が集中し、確認作業だけで数日が潰れている」
ステップ④:課題と自社の強みを掛け合わせ、コンセプトを言語化する
最後に、ステップ3で言語化した課題と、自社の強み・訴求ポイントを掛け合わせて、コンセプトを一文にまとめます。
▼自社の訴求ポイント例
・他社にはない独自の技術やノウハウ
・実績や導入事例による信頼性
・短期間で成果を実感できる即効性
・導入しやすい価格や柔軟なプラン
▼コンセプトへの落とし込み
| 項目 | 内容 |
| ターゲットの課題(ステップ3) | 紙の領収書をExcelに手入力し、承認をもらうまでに何日もかかっている |
| 自社の訴求ポイント(ステップ4) | AI-OCRで領収書を自動読み取りし、承認フローも自動化できる |
| → コンセプト | 領収書の手入力・突合チェックをなくし、経理担当者の月末残業をゼロにする |
コンセプトをキャッチコピーに変換する

コンセプトが決まったら、それを「一言で何と言うか」というキャッチコピーへと変換していきます。
キャッチコピーは、ブースの前を通り過ぎる来場者が「自分に関係がある」「話を聞く価値がある」と数秒で判断できるように、コンセプトを来場者視点の短い言葉に翻訳したものです。
▼テーマ→コンセプト→キャッチコピーの変換例
| 段階 | 内容 |
| ① テーマ | 経費精算で困っている人を助ける |
| ② コンセプト | 領収書の手入力・突合チェックをなくし、経理担当者の月末残業をゼロにする |
| ③ キャッチコピー | 経理の残業を、ゼロにする |
▼業種別:テーマ・コンセプト・キャッチコピーの一覧
| 商材 | テーマ | コンセプト | キャッチコピー |
| 工場向けIoT稼働監視システム | 工場の突発停止をなくすブース | 稼働データを可視化し、突発停止を未然に防ぐ | 「工場停止ゼロへ。」 |
| 名刺管理SaaS | 名刺交換をその場で商談に変えるブース | 名刺交換で終わらせず、その場で商談化まで導く | 「名刺が商談になる。」 |
| 建設業のDXソリューション | 紙の図面・報告からの解放を実現するブース | 紙の図面・報告をなくし、現場の情報共有を即時化する | 「工期を縮める現場DX。」 |
| セキュリティシステム | サイバー攻撃を瞬時に止めるブース | 攻撃を検知するだけでなく、瞬時に自動遮断する | 「サイバー攻撃を瞬時にSTOP。」 |
このように、テーマ・コンセプト・キャッチコピーを段階的に変換していくことで、ブースデザインやデモ内容、接客トークまで、一貫したメッセージを設計できます。
テーマ・コンセプト・キャッチコピー設計の勝ち筋

ここまで解説したテーマ・コンセプト・キャッチコピーの考え方を、実際のブースづくりに落とし込む際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。設計時の判断に迷ったら、ここに立ち戻ってください。
(1)1ブース = 1テーマに絞り込む
来場者の記憶に残るブースを作るためにも、「1ブース = 1テーマ」を徹底しましょう。経費精算・勤怠管理・請求書発行のように複数の商材があっても、今回の出展目的に最も直結するもの1つに絞り込むことで、来場者は瞬時に「何を提供するブースか」を理解できます。
▼実践のポイント
伝えたい商材が複数ある場合は、あれもこれも詰め込まず、出展目的に最も直結するもの1つに絞り込む。
(2)テーマとコンセプトは、来場者に見せない「社内の判断基準」として言語化する
テーマとコンセプトは、看板やパネルに直接載せて来場者に見せる言葉ではありません。デザイン担当、営業担当、当日のアテンドスタッフなど、社内の全員が同じ方向を向くための「判断基準」です。
そのため、テーマ(何についてのブースか)を決めたら、必ずコンセプト(どう伝えるか)まで社内向けにセットで言語化しましょう。
ここが曖昧なままキャッチコピーやデザインに進んでしまうと、担当者ごとに解釈がズレて、製品説明はできても「ブースに入るメリット」が伝わらない空間になりがちです。
テーマが「ブースのお題」、コンセプトが「ブースの判断基準」、そしてこの2つを踏まえて初めて、来場者向けのアウトプットであるキャッチコピーが生まれる、という役割分担を意識してみてください。
▼実践のポイント
テーマとコンセプトは来場者に見せる必要のない社内資料と割り切り、言葉を練り込むことに時間をかける。その上で、来場者向けのキャッチコピーに翻訳する。
(3)キャッチコピーはインパクトと一貫性を両立させる
キャッチコピーを作る際は、インパクトに加えて、コンセプトとの一貫性があるかを意識しましょう。
たとえば、「領収書の手入力・突合チェックをなくし、経理担当者の月末残業をゼロにする」というコンセプトのブースがあったとします。
▼インパクト優先で一貫性を欠く例
数字もなく抽象的な分、目は引きますが、ブース内で行われるデモや接客トークが「残業ゼロ」「手入力の廃止」を訴求する内容だった場合、来場者は「爆速」という言葉から抱いたイメージ(処理スピードの速さなど)とのズレを感じ、「思っていた内容と違う」という違和感につながります。
▼インパクトと一貫性を両立できている例
コンセプトの「月末残業をゼロにする」という提供価値をそのまま端的に言い切っているため、キャッチコピーを見て興味を持った来場者が、ブース内の体験・デモ・接客トークのどこを見ても「言っていることと中身が一致している」と感じられます。
キャッチコピー案ができたら、必ずコンセプトに立ち戻り「このキャッチコピーは、ブース内の体験と矛盾していないか」を確認しましょう。インパクトと一貫性の両方が揃って初めて、来場者の信頼につながるブースになります。
▼実践のポイント
キャッチコピー案は、必ずコンセプトとの整合性を確認したうえで採用する。インパクト重視の案が出たら、「その言葉から来場者が想像する体験」と「実際にブースで提供する体験」がズレていないかをセットでチェックする。
まとめ
テーマは「ブースとして何を伝える場か」、コンセプトは「来場者にどう体験させるか」、キャッチコピーは「来場者への一言」、この役割分担を意識することで、社内の認識がそろい、一貫したメッセージを持つブースを設計できます。
テーマは商材起点・イメージ起点のどちらから考えても構いません。今回紹介した勝ち筋を踏まえ、来場者の記憶に残るブースづくりに役立ててください。
展示会で自社の製品やサービスを効果的に伝えたいなら株式会社ストラーツがおすすめです。商材の特徴を整理し、来場者に伝わる見せ方やメッセージ設計からブースデザイン・施工、制作物準備、当日運営まで対応。展示会で伝わる展示設計を通じて、出展効果を高めるブースづくりを支援します。
監修者コメント
展示会は、ただ「見せる」だけではなく、「成果を出す」ために戦略的に準備を進める必要があります。来場者の心を動かし、商談やリード獲得につなげるには、目的に合った設計と表現が欠かせません。ブースの力を信じて、ぜひ価値ある展示会にしていきましょう。
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